読書感想 ⑧

『忘れ雪』　新堂冬樹

…確か「泣ける純愛」的なコピーを見て、「え、新堂冬樹が？　読んでみてぇ」と
大昔思って、よーやく読んだのですが。

 

ここから先は話をバラしてるのとヒロインの悪口雑言なんで隠します。

話の大筋は陳腐だが（単語が辛辣なのはヒロイン憎しの影響）、これを途中で
地面に叩きつけず最後まで読んだのは新堂冬樹の筆力なんだろうなあ。

しかし、このヒロインは疫病神だ。主人公はあらゆることまで含めて女運が
なさすぎる。

序章の段階で既に「何だこのクソませガキ小娘が！！」とムカついていたが、
まあ読み進めるごとにどんどん嫌いになっていく。

主人公の男視点だからもしかしたら気づきにくいのかもしれんが、この女相当
手前勝手だ。

七年後にプロポーズしに来いと主人公に約束押し付けたが、来なかったから
養父の勧めで別の男と婚約しながら、その一年後に偶然主人公と会い、数日
会話交わしたが昔のことを忘れたまま思い出さなかったから、主人公への思いを
断ち切るため、婚約者との関係を清算するため、パリに行きますって、主人公には
行き先云って（手紙で。それまでのことも全部手紙でバラして）、養父や婚約者には
黙ってドロンだからまあ、見上げた根性だね。残された主人公のこと考えてるか？　
どこ行ったか知りたい養父や婚約者に圧力かけられかけたり暴力振るわれたり
してっぞ。しかもあの女、一年後の同じ日にまた待ってるって、一方的に約束して
「来なかった」だのなんだの。お前、フツーの営業マンでも私用の約束は遅れる
可能性があるってのに、急患が持ち込まれる獣医師なんざいわんやをやだ
（←あれ、日本語おかしいか？）。３０分程度でガタガタ抜かすんじゃねえ。

大体想った時間が四日だろうが二年だろうが八年だろうが関係ねーだろ。
何が「出会って四日で交際だと、二年もあなたのことを思い続けてる女性に
悪いから、八年前を思い出してほしかった。そして八年前に約束したように
プロポーズしに来てほしかった」だ。馬鹿も休み休み云え、この自己中。

こんなアホに関わったせいで転落人生最後は死ぬ主人公が哀れでならない。
もの凄くいい人だったのに。誰のせいで主人公がボロボロに殴られたり刺されたり
したと思ってんだ。

残り５０ページくらいの時に「こいつ、死なねぇかな」と素で漏らしたわ。

ヒロインが視力を失った時は「当然だな」と思ったのに、主人公が死ぬ直前に
祈ったのが効いて奇跡的に視力を取り戻したって……、こいつ主人公殺しただけ
じゃねえかよ！　何でお前はのうのうと生きてるんだ！
ヒロインの魅力が微塵も判らなかったせいでこうなのか、それとも私に
レンアイモノを読む資格がないのか。
何か本読んでここまでムカついたのって、某清涼院の『コズミック』以来な
気がする……。